自動車のN(何となく)V(Variableな)H(はなし)

自動車力学、振動騒音について一緒に学んで行けるようなブログです。

【第11回】縁の下の力持ち。エンジンマウントの話

今日はNVHに欠かせない存在でもある縁の下の力持ち的な存在

エンジンマウントについて深堀りしていきたいと思います。

 

1. エンジンマウントの役割って?

エンジンマウントの役割は大きく分けて以下の4つです。

  • エンジンを支持する。
  • 振動を低減する。
  • 動きを規制する。
  • 衝突時には安全に壊れることで乗員を守る。

・エンジンを支持する。

 重さ200~300kgあるエンジンを支えること。動いていないときはもちろん、

どんな凸凹道でも支え続けなければなりません。

ただ支えていればいいのかというとそうではありません。

だからエンジンマウントにはゴムが使われているのです。

・振動を低減する。

エンジンは動力を生み出すために爆発を起こします。

その振動はエンジンからボデーに伝わり、車室内にいる乗員に不快な音や振動をかんじさせます。

そこで防振ゴムの出番です。

ゴムには”ばね”と”減衰”という性質があります。

ばねが柔らかければ振動を低減してくれます。

減衰が大きければ振動の収まりがよくなります。

だからゴムが使われているのですね。

・エンジンの動きを制限する。

車が急発進、急停止したとき、エンジンの動きを制限し他の部品との干渉を防ぐことも大事な役割です。

ただしどんな衝撃が入っても制限すればいいわけではないので、次の役割が必要となってきます。

・衝突時には安全に壊れることで乗員を守る。

車にはクラッシャブルゾーンといって衝突時の衝撃を吸収するために潰れてくれる空間があります。

エンジンが車室内の方向に飛んでこないようにするためエンジンマウントは壊れることも設計しなければならないのです。

エンジンマウントが壊れることでエンジン自体は車室を避けるように斜め下に落ちるようになっています。

 

以上がエンジンマウントの役割です。

ここでは液封マウントやアクティブ制御式のマウントに触れていませんが、

NVHには欠かせない仕組みなのでおいおい書ければと思います。

ではまた来週!